独身女性の住宅ローン審査について知っておきたいこと

独身女性の住宅ローン審査について知っておきたいこと




「独身女性の住宅ローン審査」と聞いた時、皆さんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?持ち家は結婚後のイメージがある、独身女性では審査に通らないのではと、そんなイメージをお持ちの方も多いようです。今回は、独身女性の住宅ローン審査について知っておきたいポイントについてご紹介します。

近年、女性向けの住宅ローンが増えている?
実は近年、女性が住宅ローンを組み住宅を購入するケースは増えています。その背景には女性の社会進出が進んだことや、平均結婚年齢の上昇、離婚によって再スタートを切る方の増加など、ライフスタイルの多様化があるようです。

独身女性の住宅ローン審査は厳しい?
そこで気になるのは、冒頭でも触れた独身女性の住宅ローン審査は男性に比べて厳しいのかどうかという点です。結論から先に申しあげてしまえば、近年それほどハッキリとした傾向はありません。少なくとも性別で審査の合否が決定するほどの差はないでしょう。
国土交通省住宅局では毎年、住宅ローンを供給する民間金融機関(銀行、信用金庫、信用組合、農協組合など)を対象に、民間住宅ローンの実態に関する調査を行っています。その調査報告書(平成30年度)によれば、「性別」を融資審査の審査項目としている金融機関は15.1%でした。「年収」」や「健康状態」などの上位9項目については90%以上の金融機関が審査項目に設定していると回答したことと合わせて考えると、住宅ローンの審査において性別の重要度はさほど高いとは言えません。また、同調査の回答項目には、未婚か既婚かを問うものはありません。「家族構成」という項目はありますが、こちらも平成30年度の調査では21.7%という結果になっています。
過去の調査を見ると平成25年度に性別を審査項目に設定していると答えた金融機関は20%、28年には16.1%と、性別を審査項目とする金融機関は年々減少傾向にあります。確かに一昔前は独身女性による住宅購入が一般的ではなく、銀行や信金側も同様のスタンスであったということは一つの事実でしょう。しかし、ライフスタイルの多様化や投資目的の住宅購入なども増えたことによって性別や婚姻の有無といったポイントが大きく影響することはなくなっています。

住宅ローンの事前審査で見られるポイント
それでは、住宅ローン審査で重視されるポイントは一体どういった点なのでしょう。先ほどご紹介した民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書において、95%以上の金融機関が考慮すると答えた上位5項目について見ていきます。

健康状態
最も多くの機関が考慮すると回答したのが、健康状態についてです。住宅ローンの借り入れの際には、多くの場合「団体信用生命保険」(以下、団信)への加入が条件となっています。これは、ローン契約者が返済中に死亡もしくは高度障害に陥った場合に保険会社に残額を補償してもらう保険です。一種の生命保険になりますので、その加入にあたっては当然契約者の健康状態が重視されます。
また、女性の場合に注意したいのは、妊娠中には団信への加入ができない場合が多いことです。つまり、妊娠中のタイミングで住宅ローンを組むことは難しいと言えます。

借入時/完済時年齢
健康状態に次いで重視されたのが借り入れ、完済時の年齢です。住宅ローンの審査とはつまり契約者が完済できるかどうかの審査です。多くの金融機関では完済年齢80歳が一つの基準となっており、そこから逆算して30~35年ローンを組める40歳前後までが審査に通りやすい年齢と考えられています。

担保評価
住宅ローンにおける担保評価とは、借り入れの対象となる土地・建物に付けられる評価です。住宅ローンでは万一返済が滞った場合、対象の土地・建物を処分することによって、資金が回収されることになります。つまり、担保の評価が高ければ審査は通りやすく、逆に低ければ厳しくなります。

勤続年数
住宅ローン審査では、多くの場合、同じ職場での勤務が1~3年以上という基準が設けられています。したがって、勤続年数がそれに満たない場合は審査が厳しくなるでしょう。しかし、近年は転職が特別な事象でなくなったという背景もあり、以前の職場での勤続年数を含めて審査が行われるなどのケースも増えています。常識の範囲内での経歴であれば必ずしも不利になることもないようです。

年収
当然といえば当然ですが、年収によって借り入れ可能な金額は変わります。一般的に、税込み年収の3割から5割が年間支払い可能額と見られます。例えば年収500万円であれば500万円の3割となる150万円(毎月12万5千円)が返済可能な額とみなされ、そこから借入額を決めていくことになります。なお、他での借り入れなどがある場合は、それらも合わせたバランスで金額を調整することになります。

「独身女性向け」住宅ローンとは
独身女性だからといって住宅ローン審査で大きく不利になる可能性は低いことをご理解いただけたでしょうか。さらに最近では、その需要に後押しされ女性専用の住宅ローンなども多くの金融機関から登場しています。

女性専用住宅ローン
女性専用の住宅ローンとは、ライフスタイルの多様化などを背景に女性の住宅ローン需要が高まったことから登場した、女性にとっての使い勝手の良さや特典をそろえた住宅ローンです。代表的な例で言えば金利の優遇や出産・育児休暇中の支払額の変更、保険の充実などが挙げられます。

フラット35について
また、専用住宅ローンとは別に女性におすすめしたいのが、住宅金融支援機構の提供する「フラット35」です。フラット35は最長35年間固定金利の全期間固定金利型住宅ローンです。全国の民間銀行などから申し込めます。一般の住宅ローンと比較して勤続年数や雇用形態などの要件が少なく、団信への加入は任意、収入要件は年収に対する返済負担率だけと、審査基準が緩やかな住宅ローンです。
また、全期間固定金利型で返済額が一定のフラット35は、結婚や妊娠などのライフイベントによって生活が大きく変わる可能性が高い女性にも返済計画が立てやすいという大きなメリットがあります。一方で将来金利が下がっても返済額が変わらないというデメリットもありますが、既に超低金利状態と言われる現在、金利は底値圏内にあると考えれば大きなデメリットともならないでしょう。

おわりに
今回は「独身女性の住宅ローン審査について知っておきたいこと」というテーマで、審査で見られるポイントや独身女性向けの住宅ローンなどについてご紹介しました。住宅ローン審査において、婚姻の有無や性別で審査結果に大きな違いは出る可能性は低いといえます。一戸建てやマンションの購入にあたって住宅ローンの借り入れをお考えの方は、男女・未婚既婚といった部分に身構えることなく、多くの選択肢があるということを念頭に、自分の特性に合わせた住宅ローンを選びましょう。

記事の更新日:2021/05/16

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